「計算」はパズルだったけど、「理論」は呪文だった。税法科目が僕の日本語を奪っていく
2026/02/01
ハッピーエンドの、その続き
大阪・天満橋、西岡税理士事務所の西岡です。
前回、背水の陣で挑んだ1年目に「簿記論」「財務諸表論」の2科目に合格した話をしました。 まるで映画のクライマックスのようでしたが、現実は残酷です。これはまだ「第一章」が終わったに過ぎません。
税理士試験のラスボスは、ここから始まる「税法科目」です。 僕は2年目、意気揚々と「消費税法」と「相続税法」の受講を決めました。 そして、絶望しました。
今日は、多くの受験生が心を折られる「理論暗記」の地獄と、そこから逃げなかった日々の記録です。
日本語なのに、意味が頭に入ってこない
簿記論は、電卓を叩いて答えを出す「計算」がメインでした。数字がピタリと合う快感は、パズルやゲームに近く、勉強していて楽しい瞬間もありました。
財務諸表論でも理論暗記はありましたし、それを乗り越えてきたという自信もわずかながらありました。
しかし、税法は違います。 ちょっとした小説くらいの法規集(理論サブノート)を、一言一句、「てにをは」まで正確に丸暗記しなければなりません。
「居住無制限納税義務者とは……」 「資産の譲渡等とは……」
最初は呪文にしか見えませんでした。 読んでも読んでも、右から左へ流れていく。 日本語のはずなのに、脳が拒否反応を起こして入ってこない。 昨日覚えたはずのページが、翌朝には真っ白になっている恐怖。
「これを……全部? 本気で言ってるのか?」 簿財合格で得た自信なんて、最初の1週間で粉々に砕け散りました。
お風呂もトイレも、ブツブツと独り言
専念2年目の僕の生活は、傍から見れば「危ない人」だったと思います。
机に向かっている時だけでは、膨大な量を覚えきれません。 だから、生活のすべての隙間を暗記に捧げました。
トイレの壁には理論のコピー。 お風呂では、湯船に浸かりながらブツブツと条文を唱える。 歩きながら、信号待ちをしながら、通学の満員電車に揺られながら。 口の中でずっと「呪文」を唱え続けていました。
友人と久しぶりに会っても、会話の端々に専門用語が出てきそうになる。 世の中のすべての事象が課税対象か否か。 自分の言葉が、税法に乗っ取られていくような感覚でした。
「忘れること」との戦い
税法受験の最大の敵は、難易度ではありません。「忘却」です。
人間の脳は、忘れるようにできています。 どんなに完璧に覚えても、3日触れなければ霧のように消えていく。 だから、穴の空いたバケツに水を注ぎ続けるように、ひたすら反復するしかありません。
賽の河原で石を積むような作業です。 「俺、何やってるんやろ……」 ふと我に返りそうになる瞬間が何度もありました。 でも、その虚しさに耐え、バケツの穴よりも速く水を注ぎ続けた人間だけが、合格ラインに立てるのです。
その「苦行」が、今の僕を支えている
正直、実務の現場で、条文を一言一句暗記している必要はありません。全てではないですが専門書を開けば書いてあるからです。 では、あの地獄の暗記期間は無駄だったのか?
いいえ、絶対に違います。 あの時、血反吐を吐く思いで脳に刻み込んだ条文は、今の僕の「血肉」になっています。
お客様から相談を受けた瞬間、 「あ、これはあの規定に引っかかるかもしれない」 という勘が働く。 それは、理屈ではなく、身体が覚えている感覚です。
暗記の砂漠を歩いているあなたへ
今、理論サブノートを片手に、終わりのない砂漠を歩いている受験生の方へ。 その苦しみは、決して無駄にはなりません。
あなたが今、必死に唱えているその「呪文」は、将来、経営者を守るための強力な「武器」に変わります。
暗記パンなんてありません。近道もありません。 でも、その泥臭い反復だけが、あなたを本物の専門家にしてくれます。
もし心が折れそうになったら、空を見上げてください。 かつて同じように電車でブツブツ唱えていた男が、ここでなんとか税理士をやっています。
明けない夜はありません。今日も一行、進みましょう。
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